サイバーインシデント対応で一番怖いのは、攻撃そのものよりも「初動のミス」です。
なぜなら初動は、技術的にも組織的にも「最も情報が少ない状態」で動くことになり、そこでの判断がその後の全展開(封じ込め・復旧・説明責任・再発防止)を決めてしまうからです。
しかも攻撃者は、こちらが混乱することを前提に設計してきます。 つまりインシデント対応は、突き詰めると“混乱耐性の勝負”です。
本記事では、現場でありがちな「やってはいけない初動」を具体的に整理しながら、代替となる正しい優先順位もセットで解説します。
インシデント対応の初動で最優先すべきものは、次の3つです。
逆に言うと、初動でこの3つを壊す行為が「やってはいけない初動」です。
端末が怪しい挙動をすると、反射的に「再起動すれば直るのでは?」と思いがちです。 しかしこれは初動として非常に危険です。
理由はシンプルで、再起動で以下が消える可能性があるからです。
再起動は「症状が消えたように見える」だけで、攻撃者が残したバックドアや認証情報窃取の影響は残ります。
代替の正解:まずは隔離(EDR隔離 / ネットワーク遮断)し、必要なログと状況を確保してから判断します。
インシデント発生時にありがちな最悪の行動は、焦って「怪しいファイルを削除」「ログを消す」「勝手にクリーンアップ」することです。
たしかに一時的には落ち着いたように見えます。しかし、次が地獄になります。
攻撃者にとって「証拠が消える」はボーナスタイムです。 “敵が逃げやすいように道を掃除する”のと同じです。
代替の正解:削除よりも先に「何が起きたかの記録」を優先します。 最低限、端末名・ユーザー・時刻・観測された現象・対応内容を時系列でメモします。
「不正ログインかも」と聞いて、全員にパスワード変更を強制するケースがあります。 これ、状況によっては逆効果です。
理由は以下です。
代替の正解:まずは優先順位を付けます。 特権アカウント、VPN、IdP管理者、メール管理者など“突破されると全滅する系”を最優先で保護します。
そして最も効くのは、パスワード変更そのものよりもMFAの強制(例外運用の排除)です。
侵害が疑われると「ネットワークを全部遮断すれば安心」と考えがちです。 しかし全面遮断は“最終手段”です。
確かに攻撃者の通信は止まりますが、同時にこちらも失うものが大きい。
代替の正解:基本は“ピンポイント遮断”です。 対象端末隔離、怪しいアカウント停止、特定サーバセグメント遮断など、影響を絞って止めます。
全面遮断は、「暗号化が進行中」「横展開が止められない」など、明確な危機のときに使います。
初動で致命的なのは、技術というより組織です。 具体的には、担当者がそれぞれ独断で動き始める状態です。
こうなると、被害そのものよりも「説明責任」が崩壊します。 結果として後から訂正が必要になり、信用が削れます。
代替の正解:最初にやるべきは、技術作業ではなく意思決定ラインの固定です。
これが決まるだけで、対応の質は一気に上がります。
ランサムウェアの場合、「身代金交渉」をどうするかは非常に難しいテーマです。 しかし初動段階で、現場が独断で攻撃者に連絡するのは危険です。
代替の正解:交渉の是非は、経営判断・法務・外部専門家を含めて決めます。 初動で現場がやるべきは、復旧可能性の評価(バックアップ等)と証拠確保です。
最後に、初動の実務でそのまま使える簡易テンプレを置きます。 この順番を守るだけで、失敗確率が大きく下がります。
インシデント初動で最も危険なのは、「何かしなきゃ」という焦りです。 焦って動くほど、証拠が壊れ、判断がぶれ、被害が拡大します。
初動の勝ち筋は、派手なことをすることではなく、
この3点を守ることです。 サイバー攻撃は“技術の戦い”に見えて、実際は運用と意思決定の戦いです。
まずは今日から、インシデント対応フローを「1枚の図」にするところから始めてみてください。 それだけで、初動の強度が確実に上がります。
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